エンタングルメントosugi3yのブログ

14年勤めた企業をやめました。映画「時の行路」尾道市実行委員

「君たちはどう生きるか」は本当の友情とは何かを描いた作品だ。〜シン・すべてがNになる〜

f:id:osugi3y:20230719234024j:image 日々の生活が忙しい中、最近はなぜかテレビも映らなくなって(今は亡き日立社製のWoo)映画や移動時間に聞くオーディオブックが日々の楽しみである。スタジオジブリが新しい映画制作を手がけているということを、風の噂で耳に入れる、あーポッドキャストの「ジブリ汗まみれ」だったかと思う。ネット媒体か何かで広告や宣伝をしないスラムダンク戦略でいくというのも何かで聞いた気がした。まあ作るなら作るんだろうしより楽しむためにブックアプリのオーディオブックの「君たちはどう生きるか」を予習しておくことにした。最初タイトル間違えてしまっていて「君たちはどう生きるのか」と勘違いしていた、

https://itunes.apple.com/WebObjects/MZStore.woa/wa/viewAudiobook?id=1578210907

 何回か繰り返して聞いているが時代背景が違うとはいえ最近自分が気づいたことなんかを主人公の本田潤一君が中学生ながら気づいていてすごい本があったんだなと感心してしまった。とはいえ自分は量子力学という観点からでコペルくんこと本田潤一くんはニュートン力学コペルニクス発想の転換などから考察していく。

 宮崎駿版「君たちはどう生きるか

 情報がアオサギの扉絵しかなくしかも中に入ってるのはこれまた得体の知れないものが見えている状態だ。まあ言ってもアレンジはあるにせよ、原作(吉野原三郎著)を踏襲している部分はあるだろうと映画を見始めた。7月14日公開で三連休頭に合わせてくるあたり劇場映画を何本も作っているスタジオだけあって手慣れた感はある。原作も戦争後の話ではあったが、少し時間軸がズレていて空爆の描写が描かれている。

 その時に本作の主人公眞人少年の母親ヒサコ、は死んだ。その後疎開かなんか地方へ引っ越すのだがその眞人少年の母親の妹の家へ引っ越していく。この人は夏子さんというらしい。この時間軸で既に妊娠している描写があるので空襲時には既に父親とそういう関係であったと推察される。そこの部分への引っかかりは感想を眺めている感じではあまりないし、当時も金を持っていれば隠し子くらいは容認されていた時代だったのかもしれない。

 そして夏子邸へいくのだが相当大きな家に住んでいる。しかも家の使用人も5、6人くらいいて富裕層の家なんだとわかる。この使用人たちの描かれている姿形が少し「千と千尋の髪隠し」の湯婆婆みたいで綺麗に描かれていないのも引っかかった。

 あとなぜか今作には鳥が象徴的に現れる。まず夏子邸にいくとアオサギが飛んできて廊下の下を飛び抜けていく。アオサギ自体は美しいがこちらを見ているような描写が多い。使用人たちの当時の労働環境はわからないが全員女性であった。当然子供がいるような描写がなかったので今より身分的階級が分かれていて子供を持てるのは社会的成功者だけだったのかもしれない。原作(吉野原三郎版)にも当時の学校には政治家の息子や貴族院議員の息子などが多かったようだ。原作に出てきた浦川くんという豆腐屋の息子が貧乏の象徴で出てきたりしていたがこれも現代的には職業差別だ、となりかねないので変更されたのかと感じてしまった。

 初日学校に行くと転校生に制裁を加えるシーンが描かれる、それで帰りに自分で石で頭に傷をつける。この傷が物語の何かを表現してるみたいだったけど、原作にあだ名が「ヨコハゲ」と呼ばれている上級生がおりそれのオマージュかなとか感じた。

アオサギのモデルは鈴木敏夫

 アオサギの中に歯が見えるシーンが序盤あり、生物学的には鳥類には歯がない。いや昔はある種族もいたのだが絶滅した。そっちの方向で話が展開されるのかと思いきやそうでもなくアオサギの中に鳥人間が入っておりそいつは人語も喋れるのだ。これが扉絵になっている鳥の正体である。何かジブリ関係者のnoteで読んだが、あれはモデルはプロデューサーの鈴木敏夫氏であるとのことだ。外のアオサギの皮を被ると美しいが中身は変な鳥人間だ。宮崎駿氏には鈴木氏がああ見えているのだ。

 家の近くにある塔にアオサギが飛んでいくのを見る眞人少年、追いかけるも家の人が探しているので戻って家に帰る。

 何を思ったのかアオサギに敵対心を抱く眞人少年、この辺りの心情の動きがよくわからないが木刀やら自作の弓なんかを作り始める。原作を読んでいると、「資本論」が影響している件がありそれでおじさんから諭される場面んがあるが本作では、ここでアオサギ討伐のために弓を製造するので眞人少年は「生産者」として機能している。そしてうまく弓を作れないが作っている途中に夏子さんが森に入っていくのを見かける眞人少年。弓作りに忙しいので、横目でチラ見するだけにとどまる。弓の方はまっすぐ飛ばないのでアオサギの羽を矢尻に装着することを思いつく。すると不思議な力みたいなものが働きまっすぐ強力に飛んでいき壁に刺さる。

 そして日が暮れかかると家のものたちが夏子さんがいないことに気づき捜索し始める。森に入っていくのを思い出した眞人少年はそのルートを辿っていく。そこに一緒についてきた使用人のキリコもイヤイヤながらあの塔へ入っていくことに。

 塔の中にアオサギがおりそこには眞人少年の母親のヒサコが寝ている、しかし触れると液体状になり溶けてしまった。アオサギは本当はヒサコ生きていると言っている。それで生きている母親を探しに通称「中の世界」へ。

 中の世界と呼ばれているがそこはなんなのかはよくわからない。とりあえず精神が具現化した世界か、セルフイメージの世界か、他にも死人も生まれる前の魂もそっち側にある模様。ドラゴンボールで言えば「精神と時の部屋」で、アニメ版鋼の錬金術師でいえば扉の向こう側の世界みたいな感じだろうか。

 ここでも鳥が出てくる、ペリカンだ。彼らは肉食なので眞人少年に群がるが、眞人少年は食べられずにすんだ。それをキリコがアオサギの羽の矢尻のおかげだという。何か魔法のようなものが宿っているようだ。

 まあとはこの世界では殺生ができるものにも制限があるらしく、死んでここにきたものは殺生の権利がないらしい。また人間界に生まれる前の段階の状態として「ワラワラ」というのがいてこの子たちも殺生はできないようだ。人間界で生まれるためには栄養をつけないといけないらしくキリコたちが仕留めた妖怪っぽい魚を一緒に食べたようだ。

 まだ色々あったがインコが出てきて眞人少年を食べようとしたり、インコは肉食ではないので違和感があったが、この辺はペットとして馴染みのある動物の恨みのようなものを表現してるのかなとも思ったり。

 そんなこんなでこの世界の主の後継者となれと言われるんだけど、眞人少年は自分の世界に帰って友達を作ると宣言する。それで結局この世界は崩壊するんだけど、いろいろこの間に友情が芽生えていて、敵対していたアオサギとも友達になっていた。この部分のメッセージは非常に強いメッセージとして私は受け取った。友達は何も人間じゃなくてもいいんだと。私も人間の友達が少ないのでカラスと友達になることを日々試みているのである。

gigazine.net

 このアオサギは実際には宮崎監督は鈴木敏夫氏だと言っているらしいが中身をちょっと醜く描きすぎではないのかと思ってしまった。まあ表現者なのでそれは言っていい部分なのかもしれないが。私なら心で思っていても口には出さないなぁと感じた。

 いやああいうふうに描いたと公言しても友情関係が崩れないというのが本当の友情なのかなと感じた、この作品は原作もそうだが、本当の友情を違った形にせよ描いた作品なんだなと感じた。

 結論「君たちはどう生きるか」は原作「君たちはどう生きるのか」(吉野源三郎著)とは別物だということが分かった。