エンタングルメントosugi3yのブログ

14年勤めた企業をやめました。映画「時の行路」尾道市実行委員

Apple TV+「テトリス」がすごく良い〜シン・すべてがNになる〜

 


 Apple TV +の「テトリス」を見た。サブスクリプションサービスはあまり好きではないのだけれど一部、ネットで評判なのと、年末にプレゼントで買ったiPad Proの購入特典でApple TVの3ヶ月無料特典が付いてきたのでそれを解約していなかったことを思い出して見てみることにした。
 主人公はゲームパブリッシャーで働く妻子持ちのヘンク・ロジャース囲碁のゲームなんかを売っている男だ。そのヘンクがゲームの展示会か何かでテトリスというゲーム(最初ヘンクはテトリスに興味を示さないのだけれど)展示会参加者(ヘンクの会社ブレットプルーフソフトの従業員?)の1人の女性が楽しそうにテトリスをプレイしていてヘンクにもプレイを薦める。プレイをしたヘンクはテトリスの虜になる。
 この面白いゲームで一攫千金?を狙うヘンクは「テトリス」権利を獲得するため販売網を確保するために動き始める。
  アーケードの権利は既にSEGAが獲得していることを知るがコンシューマや発売前夜のゲームボーイ(携帯版)の権利はまだどこの会社も持っていないことを知るとヘンクは任天堂に販売権の交渉を持ちかける。この時、結構強引に日本の任天堂に入っていく、無理矢理当時の任天堂の社長の山内と面会する。権利の交渉は任天堂アメリカでするといいと言われ任天堂アメリカへ。そこでまだ発表されていないゲームボーイの存在を聞かされ、即座に「アセンブラ*1C言語?」と質問し、「テトリス」のデモ版のプログラム(フロッピーを用いて)を組んでみせるヘンク。この辺りの技術者を納得させるのは多くは描かれないがプログラミングをかじったものならニヤリとするところ。
 同時に開発者や権利はどこに所属するのかを調べたヘンクはソ連の「エローグ(モスクワ・コンピュータ・科学センター)」という組織が権利を持っており開発者もそこにいると踏んだヘンクは観光ビザ*2ソ連へ渡る。
 「エローグ」がなんなのかわからないままソ連へ行き所構わず「エローグ」が何かを嗅ぎ回るヘンク。この頃のソ連では観光客に通訳のサービスを路上で持ちかける人がいたり、タクシーを止めるためにタバコを掲げるソ連独特の文化が表現されていて面白かった。
 最初はロシア語のできないヘンクは、通訳を断っているのだけれど一日歩き回って言葉が通じないのは不便だと感じたのか、通訳をつけることになる。1日歩き回ってホテルへ帰ってきたヘンクに通訳と思われる女性(サシャ)が声をかけてくる。「サービス必要ですか?支援が必要ですか??」最初僕は娼婦の誘いかと感じてしまったのだけれど、ヘンクが「何?」と聞き返すと「通訳必要ですか?」と言ったので通訳の人かと理解できて、ヘンクもサシャを雇うことにする。
 サシャに「エローグ」とはどこにあるかを尋ねるとそれは政府組織のだと言われる。観光客が政府組織に立ち入ることは違法だと忠告してくれるサシャの制止を聞かず「エローグ」へ向かうヘンク。受付で「テトリス」の開発者に会いたいと伝えるが受付の人にはなんのことか分からない様子。そこに通りかかる重鎮っぽい男(この人物も重要人物なんだが名前が思い出せない)にテトリスの話をするとすこし話が通じるが販売権はどこにも譲渡していないのでヘンクの持ってきた「テトリス」のパッケージは違法コピーだと言われる。後日来れば商談に応じると言われてその日はとりあえず帰るヘンク。
 と、この辺りまでは鮮明に記憶できているがここからはちょっと記憶の時系列が怪しくなる感じ、この後「テトリス」の開発者のアレクセイ・パジトノフ*3と出会う。
 パジトノフに「テトリス」開発の栄誉と報酬を約束しようとするヘンクだが、パジトノフソ連の体制*4でそれは認められていないと言う。
 パジトノフと社会体制の違いでなかなか打ち解けられないが「テトリス」開発に対して敬意を持っているヘンクとの間に生まれる友情が描かれている。*5
 通訳のサシャとの関係性も見どころの一つではある、サシャの心情なんかは描かれないし、職業柄どういう意図があったのかは議論の必要がありそうだと感じた。ただ一つ言えることは僕がヘンクならヘンクのような対応はできなかっただろうなということ。なんの話かと思った人は「テトリス」を見てみることをお薦めする。
 月額900円で「テトリス」だけ見てサブスク解除でも映画を見にいくより安くてお薦め。
 ただ僕のMacBook Proが2015年製で古いのが問題なのかWi-Fiの問題か途中Macを3〜4回再起動しなければならなかった。しかしそれでもこの作品は見る価値があると思う。
 近代史の勉強にもなるし、冷戦とはなんなのか、ゴルバチョフの体勢化で支配側が規制しているものと被支配側が規制されていると考えているものが違っていたり。
 時代背景的にも、フロッピーが情報伝達媒体であった時代の、Viaweb、Yahoo!GOOGLEよりは前の情報伝達媒体が主流であった時代のお話。
追記
 あと、音楽がテトリスの「コロブチカ」のアレンジでいろいろあったのがよかった。

*1:アセンブラを記述できるなんて現代人からすると超人のように感じてはしまうが

*2:観光ビザでビジネスをしていると違法で逮捕されるらしい

*3:パジトノフはその当時でも型落ちのコンピュータのエロクトロニカ60でテトリスの開発を行なった。

*4:翻訳でしきりに共産主義と翻訳されているがソ連といえば社会主義というイメージの方が筆者にはある。

*5:パジトノフが英語ができたことが友情を作ることに大きく貢献しているなと感じた。